当院で行うFIPの治療

当院で行うFIPの治療

大阪府豊中市のハッピー動物病院です。当院で行うFIPの治療は、抗ウイルス薬であるレムデシビルとGS441524を用いて行います。この2つの薬は正常な核分裂を阻害することによってウイルスの増殖を防ぐタイプの抗ウイルス薬です。注射による初期治療と内服によるその後の治療に分かれます。

レムデシビルの注射

ある程度重症なFIPの場合、入院下でレムデシビルを静脈注射で毎日投与します。これをある程度元気と食欲が出るまで行います。期間は重症度によって異なりますが、おおよそ3-7日程度になる事が多いです。
※比較的軽症の場合はレムデシビルを使わずに後述のGS441524の経口投与からスタートする場合もあります。

GS441524の内服

レムデシビルの注射である程度症状の改善が見られましたら、GS441524と呼ばれる内服薬を猫の体重に合わせて原則11回内服してもらいます。服用前と服用後の1時間は食べ物を与えない様にします。

大きな副作用のない薬ですが、薬の効果や有害反応のチェックのため、1-3週間に1度通院してもらい体温測定や血液検査、超音波検査などをして経過を観察します。

合計84日間投薬を続けて、FIPが寛解(症状や検査で異常が認められない状態)になっていれば治療を終了します。その後定期的に検診を行い3ヶ月間再発がなければ完治と判断します。

FIP治療の費用について

体重や重症度、FIPの型によって大きく左右されますが2kgの比較的軽症の猫の場合40万円程度がお薬にかかる費用として必要になります。個別事例についてはお電話にてお問い合わせ下さい。

モルヌピラビルによるFIPの治療

治療成果を考慮すると治療の第一選択はレムデシビルとGS-441524製剤であることは間違いありませんが、金額的に難しい方にはモルヌピラビルでの治療の相談も受け付けています。ただし、上述の治療と比べると治療中の再燃や治療終了後の再発が少なくなく、特に重症例や眼型・神経型の治療、FIPを確定出来ていない症例の診断的治療には不向きです。

 


FIPの治療成績

FIPの治療に関して最近大規模な報告の論文が発表されました。

https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/1098612X231194460

この論文では、171頭の猫を対象に当院と同じレムデシビル及びGS441524の投薬治療を行い、

  • 162頭(94.7%)が寛解し長期生存

という治療成績を報告しています。

 

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